近江八幡市、日照時間を数字で見る
近江八幡市の市街地で建物が集まる地点を選び、地上1.5mの高さに1年を通じてどれだけ日が当たるかを月ごとに計算しました。数字が示す季節の差と、その理由を見ていきます。
「太陽が出ている時間」と「実際に日が当たる時間」はちがう
日当たりを考えるとき、まず区別したいのが「可照時間」と「日照時間」です。可照時間とは、その日に太陽が地平線の上にある理論上の時間のこと。日照時間は、そのうち実際に地表まで日射しが届いた時間です。周りに何もなければこの二つはほぼ一致しますが、建物が密集する場所では差が生まれます。その差の分だけ、周囲の建物の影に入っていたということです。
今回の観測点は、近江八幡市の市街地のなかでも建物が最も集まっている地点、地上1.5mの高さです。この地点の6月15日は、可照時間14.50時間に対して日照時間6.67時間、率にして46%でした。逆に12月15日は、可照時間9.83時間に対して日照時間0.00時間、率は0%です。同じ地点でも、季節によってここまで開きが出ます。
6月は46%、12月は0%——冬に日照が消える理由
月ごとの日照率を追うと、1月2%、2月12%、3月32%と春に向けて上がり、6月に46%でピークを迎えます。その後は7月45%、8月41%、9月35%と緩やかに下がり、10月21%、11月8%、12月0%と冬にかけて急に落ち込みます。夏至(6月21日)は日照6.50時間、冬至(12月22日)は日照0.00時間で、可照9.67時間のあいだ、この地点には一度も直射日光が届かない計算になりました。
この落差の主な理由は、太陽の高さ(太陽高度)です。冬は太陽が低い角度からしか差さないため、同じ高さの建物でも影が長く伸び、隣接する建物の陰に入りやすくなります。夏は太陽が高い位置を通るので、同じ建物のあいだでも日射しが届きやすい。つまりこの数字の変化は、建物の配置そのものよりも、太陽の通り道の高さが季節でどれだけ変わるかを映したものです。洗濯物の乾きや冬場の室内の明るさを考えるなら、6月の数字より12月・1月・11月の数字のほうが暮らしに直結します。
規制が見る8時間では、地上4.0mに5.50時間
建築基準法には「日影規制」という制度があり、冬至の日に、周辺の敷地にどれだけ影を落とすかを基準にしています。ここで数えるのは1日ぜんぶではありません。冬至の日の真太陽時8時から16時までの8時間だけを切り取ります。今回の地点をこの条件(地上4.0m)で計算すると、8時間のうち日影が2.50時間、日照が5.50時間になりました。先に見た地上1.5mの冬至0.00時間は1日を通して数えた値なので、この5.50時間と大小をそのまま比べることはできません。測る高さも、数える時間の長さも違うためです。
この差は、測定する高さによって越えられる建物の影が変わるためです。1階の窓の高さと、2階の窓に近い高さとでは、見える空の範囲が違います。マンションの低層階と中層階で日当たりの印象が変わるのも、同じ理屈です。物件を検討する際は「日当たり良好」という表示がどの高さを想定しているか、意識してみる価値があります。
この数字に入っていないもの
この計算は、55850棟の建物データ(更新日2026-08-30)をもとにしています。建物データは年度単位の更新のため、新しく建った建物や取り壊された建物が反映されていない場合があります。また、この計算は建物の壁面や高さをもとにしたもので、屋根の形状、庭木や街路樹、塀までは考慮されていません。実際の敷地では、これらが日当たりにさらに影響することがあります。
曇りや雨の日がどれくらいあるかも、この数字には含まれていません。ここで示した日照時間は、あくまで「周囲に建物がなければ日が差すはずの時間帯に、実際に建物の影が入らなかった時間」を晴天条件で計算したものです。天候による差は別に見込む必要があります。
次に確かめたいこと
気になる土地や物件があれば、この数字を目安にしつつ、実際に現地で確認することをおすすめします。特に日照率が低い11月〜1月の時間帯に、朝と午後で影の伸び方がどう変わるかを見ておくと、計算結果との違いも含めて実感がつかめます。近隣で新しい建物の建築計画がないかも、あわせて確認しておきたいところです。
日当たりは、住まい選びのなかでも後から変えにくい条件のひとつです。数字はあくまで目安ですが、季節による違いや高さによる違いを知ったうえで現地を見ると、印象だけで判断するより手がかりが増えるはずです。