室蘭市中心部、日当たりを数字で読む
国土交通省の3D都市モデルを使い、室蘭市中心部の地点で「いつ、どれだけ日が当たるか」を月ごとに計算しました。数字の意味を見ていきます。
太陽が出ている時間と、実際に日が当たる時間は違う
「日照時間」と聞くと、太陽が出ている時間がそのまま当たると思いがちですが、実際はそうではありません。太陽が地平線の上にある時間を「可照時間」、そのうち実際に日差しが届いた時間を「日照時間」と呼びます。この二つの差が、周りの建物による影の分です。
室蘭市中心部のこの地点では、たとえば5月15日は可照14.50時間に対して日照8.67時間(60%)、12月15日は可照9.17時間に対して日照5.00時間(55%)でした。太陽が出ている時間の半分前後しか、実際には日が差していない計算です。この地点は建物が特に集まっているエリアのため、周囲の建物の陰に入る時間が長く出やすい場所だと考えられます。
夏至と冬至で、当たり方はどれくらい変わるか
2026年の夏至(6月21日)は日照8.33時間、可照15.17時間でした。一方、冬至(12月22日)は日照5.00時間、可照9.00時間です。可照時間そのものが夏と冬で6時間以上違うのは、太陽が地平線の上にいる長さが季節で変わるためです。
冬は太陽の高さそのものが低くなるため、同じ建物でも影が長く伸びやすくなります。日照時間が可照時間に占める割合(夏至55%、冬至56%)はそれほど変わらないものの、分母となる可照時間自体が短いので、実際に日が当たる絶対時間は冬のほうが短くなります。洗濯物の乾きや室内の明るさ、暖房の効きなどを考えるときは、この「分母の違い」を意識すると実感に近づきます。
1年でいちばん長いのは5月、いちばん短いのは12月
月別に見ると、日照時間が最も長いのは5月15日の8.67時間、最も短いのは12月15日の5.00時間でした。3時間以上の開きがあります。春から夏にかけて日が伸び、晩秋から冬にかけて縮む、という傾向そのものは季節の流れとして自然なものですが、どの月にどれだけの数字が出るかは、周りの建物の配置によって地点ごとに変わります。
植物を室内で育てたい、冬場の日だまりを確保したいといった場合には、この月別の数字が目安になります。ただし計算はあくまで天候に左右されない「晴れた場合」の幾何学的な日照であり、曇りや雪の日が多い時期には、実際の体感はこの数字より少なくなる点は留意してください。
建築基準法の日影規制は、別の物差しで測っている
不動産の資料でよく見る「日影規制」は、ここまでの日照時間とは測り方が違います。規制が見るのは冬至日の真太陽時8時から16時までの8時間だけで、測定する高さも地上4.0mです。この地点での参考値は、規制が見る8時間のうちの日影が0.83時間、日照が7.17時間でした。
同じ冬至でも、1日まる1日を計る日照時間(5.00時間)と、8時間の窓だけを切り取る日影規制の数字(7.17時間)は、物差しの長さも測定の高さも違うので、そのまま並べて比べることはできません。「規制が見る8時間のうち何時間」という形で読むのが正しい使い方です。
この数字が前提にしていること、含んでいないこと
今回の計算には55906棟の建物データ(2026年10月2日更新)を使っています。建物データは年度単位で更新されるため、直近に建った建物や取り壊された建物が反映されていないことがあります。また、計算に使われるのは建物の大まかな形だけで、屋根の形状や庭木、塀などは含まれていません。
周囲の起伏や建物の立て込み具合は地点ごとに大きく異なります。土地を探す際は、この数字を目安にしつつ、実際に現地で朝・昼・夕方の光の入り方を確認すること、また自治体の都市計画窓口で地域地区や日影規制の内容を確かめることをおすすめします。